Kassyの試写会映画生活

主に試写会メインで新作の映画についての感想を残していきます。

「タロウのバカ」死んでいるように生きている少年たちの叫び

監督:大森立嗣

主演:YOSHI

 

『ぼっちゃん』などの大森立嗣監督がおよそ15年温めてきたオリジナル脚本を映画化。学校に行かず自分の年齢もわからない少年が、2人の仲間たちと出会い、世界を知る。主人公には、300人以上の候補者の中からモデルのYOSHIが抜てきされた。彼に慕われ共に行動する少年を『あゝ、荒野』シリーズや『アルキメデスの大戦』などの菅田将暉と、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』などの仲野太賀が演じる。

 

2019年9月6日公開

 

大森立嗣監督のデビュー作として構想していたオリジナル作品が、20年の時を経て映画化。
商業作品のヒットにより映画化出来たという作品は、デビュー作にふさわしい初期衝動にあふれた作品だ。
世の中への怒り。他人への怒り。自分への怒り。
生きると死ぬの狭間にいる少年たち3人は、自分勝手に見境なく暴力性をさらけ出す。訳の分からないシーンも多い。大人はどうしようもない大人しか出てこない。それが少年たちからみた世界であるわけで、この3人だけの世界の話なのだ。まさしく青春映画と言えよう。

菅田将暉と太賀という強力な2人に支えられ、中心にいるタロウを演じるのは新人YOSHI。得体の知れない無垢な少年そのままを切り取ったかのような存在感である。3人はそれぞれ違ったアプローチでそれぞれの狂気を見せるが、太賀の狂気が1番印象的だった。終盤における彼の一連の行動はショッキングでありながらどこか美しさをはらんでいた。

とは言え、好きか嫌いかで言うとこの映画はあまり好きではない。
気持ちのいいものなんか作らないという作風が、感情を逆撫でしていく。早くこの世界から抜け出したかった。

 

お気に入り度:★★