Kassyの試写会映画生活

主に試写会メインで新作の映画についての感想を残していきます。

「ジョーカー」必見!社会の闇が産んだ新たなジョーカー像

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監督:トッド・フィリップス

主演:ホアキン・フェニックス

 

『ザ・マスター』『ビューティフル・デイ』などのホアキン・フェニックスが、DCコミックスの悪役ジョーカーを演じたドラマ。大道芸人だった男が、さまざまな要因から巨悪に変貌する。『ハングオーバー』シリーズなどのトッド・フィリップスがメガホンを取り、オスカー俳優ロバート・デ・ニーロらが共演。『ザ・ファイター』などのスコット・シルヴァーがフィリップス監督と共に脚本を担当した。

 

2019年10月4日公開。

 

名優達が素晴らしい演技で命を吹き込んできたジョーカーに、また一つ傑作が生まれた。

不穏で陰鬱とした空気が映画にずっと渦巻きながら、計算され尽くしたかのような構図の数々や演出がビシビシとはまる。
その中心にいるホアキン・フェニックスの痩せこけた身体から放たれる圧倒的な底知れぬ演技が素晴らしかった。

ジョーカーが産まれる背景に描かれる、貧困、児童虐待、格差、病気、差別。
地獄のような社会の中で、ジョーカーは人が産み出した怪物なのだと思わされる。
群集心理の恐ろしさがそれを増長させる。
ラストの群集とのシーンは一層の恐怖を煽るようなスーパーヴィランの誕生シーンだった。

壮大なバックトラックが劇的な展開を彩るが、そんな中でナット・キング・コールのスマイルとフランク・シナトラのThat’s Lifeは映画に違った色をつけていて印象的だった。

笑いを求め続け…妄想の中だけでも幸せでいられたなら…でもそれはまやかしの幸せだったのだろうか。
一人の哀しい男の悲しい末路。
そしてこれからに想いを馳せるのであった。

絶望的だからこそ、ある意味ヒーローが待ち遠しくなる映画かもしれない。